俺の妻は稽留流産のあとに胎盤ポリープを発症した。
胎盤ポリープは比較的珍しい症状であり、ネットで調べると「大量出血のリスク」「子宮全摘出の可能性」など不安な情報ばかり。当時は、気が気ではなかったが、現在は手術で無事に回復している。
今回は胎盤ポリープの診断を受けてから回復した現在までの過程を男性目線で共有する。情報も症例も少ないから、一つの体験談として参考になれば嬉しい。
目次
前置き
本内容は、俺の個人的な体験や感想を共有するものであり、専門的な医学的見解を示すものではない。
医療や治療に関する判断は、必ず担当の医師と十分にご相談の上で行ってほしい。
稽留流産の術後の経過が芳しくなかった
妻が稽留流産の手術を終えてから、一安心しているところにすぐに異変があった。
通常なら手術後には生理のような出血があるはずなんだけど、妻の場合はほとんど血が出てこなかったんだ。この時の俺はまだ楽観的で、手術が出血の少ない手動真空吸引法(MVA法)だったからと思っていた。
だけど、手術後のエコーで医師から
- 子宮内に血液が溜まっているが、ほとんど出ていない
- 血流が豊富でいつ大量出血してもおかしくない
- 胎盤ポリープの可能性あり
と言われた。とりあえず出血を促すために、子宮収縮剤を処方してもらったけど、症状は一切改善しなかった。
その後も2回ほど検診に行ったけど症状は変わっておらず、だけど医師から言われるのは経過観察。紹介状で総合病院などに行っても同じように経過観察になるだろうと言われた。正直、改善しない状況に段々と不安は募っていたんだけど、言われるまま経過観察を続けてしまった。
今思うと、おかしいと思ったタイミングで総合病院の紹介状をもらうべきだった。
突然の紹介状で総合病院へ

相変わらず症状は変わらないままだったけど、ある時状況が一変した。突然医師より「大きい病院へ行ってください」と言われた。
この前までは経過観察で問題ないと言っていたのにって思っていた。だけど突然紹介状を渡されるということは妻の状況がよくないのではないかと不安を抱えながら総合病院を受診した。
総合病院では、1回目の受診でエコーと血液検査をした。エコーではやっぱり胎盤ポリープの可能性があると言われ、血液検査は比較対象がないから、数日後に再度来てほしいと言われた。そして、再度血液検査を行ったところ、その場で手術の日程を決めることになった。
というのも血液検査の結果で、hCGというホルモンが手術後にからは減らないといないといけないのに、1回目が2400台だったのが2回目には2500台まで上がっていたんだ。
手術になったのも
- hCGの数値が高すぎる
- 血流が豊富
の理由から手術になった。
俺たちに選択肢はなく「手術をしましょう」と言われた。それくらい妻の状態は悪かったらしい。
手術予定を立てた日に子宮から突然の大量出血

胎盤ポリープの手術は2日間の手術で、初日に子宮動脈塞栓術で子宮の片側の動脈を止める手術。翌日に子宮鏡下手術でポリープを取り除く予定になった。
そして、医師と手術のリスクや手術の流れなどを確認をして手術前検査の日を待つだけだったんだけど、この日の夜中に事件が起きた。
夜、寝ていたところを突然妻に叩き起こされて
「血がめちゃくちゃ出てきた」
と言われた。妻にトイレに連れていかれ便器に広がる真っ赤な血を見せられてパニックになってしまった。
そこからの俺の行動は最悪で「大量出血をしたら救急車を呼んで」と言われていたのにも関わらず、妻に病院へ連れて行ってほしいと言われ、自家用車で病院に連れていってしまった。寝起きで頭が回っておらず、冷静な判断ができていなかった。なにもなかったからよかったものの事故でもしていたらと思うとぞっとする。
大量出血により緊急入院

とりあえず何事もなく無事に病院には着いたけど、診療時間外だったから子宮にガーゼを詰めて止血だけしてもらって、診察時間まで病院で待つことになった。そして診察時間になって医師に言われたのが「今日から入院してください」だった。
緊急入院になったけど、手術の予定が早まることはなかった。
俺としてはまた出血するんじゃないかって怖かったけど、幸いにも早朝の大量出血以降に酷い出血はなかった。もし、また大量出血をしていたら子宮の全摘出もあったらしい。怖すぎ。
子宮動脈塞栓術

入院してからは、幸いにも何事もなく手術の日まで迎えることができた。初日にカテーテル、翌日に子宮鏡下手術でのポリープ除去だった。
まず、初日のカテーテルは局所麻酔を行い、腕から子宮の動脈まで通していくことになった。妻曰く、麻酔の効きが悪かったのか腕の感覚が若干残っていて通っていく感覚はあったらしい。とはいえ、それ以外は何事もなく手術は終わりました。
通常は塞栓の影響で生理痛のよう痛みがでるみたいだけど、妻はその痛みよりもカテーテルを通した腕の痛みが強かったらしい。その痛みは1週間ほど続いたけど、日常生活ができなくなるほどの痛みではなかったそう。
子宮鏡下手術
そして、翌日にメインの手術である子宮鏡下手術をおこなった。
まず午前中に子宮頸管を広げる処置するんだけど、これがとんでもなく痛いらしい。手術前に妻のお見舞いに行ったけど、痛すぎて歩けないから車椅子を使って移動をしていた。
そして、夕方から子宮鏡下手術がおこなわれた。手術時間は1時間程度だった。この手術では麻酔を腰椎麻酔と静脈麻酔を使用した。
妻曰く麻酔で意識はなく、意識が戻った時にはすでに手術が終わっていたとのこと。
手術後の経過と体調の変化

妻の体調は、退院直後は手術の影響で免疫力が低下していて若干風邪の症状もあったけど少しずつ回復していた。術後の数日は出血だったり腰痛や貧血の症状があったみたいだけど、1週間くらいでほとんど出血はなくなり、腰痛だったり貧血の症状も改善していた。
術後の診察で医師からも「順調に回復しています」と言われて、hCGの数値も順調に下がっていたから、ようやく安心することができた。
その後の妊娠・出産への影響は?

胎盤ポリープの手術を受けた後、次の妊娠や出産に影響があるのか不安に思う方も多いと思う。俺たちも不安だったので、医師に確認をしたけど、医師からは
「絶対に大丈夫とは言えないが問題なく妊娠・出産をされた方はいる。」
と言われた。
とはいえ、回復して動脈塞栓で動脈を一時的に止めているため子宮に負担がかかっているので、回復期間は必要とのこと。
次の妊活は術後の診察で相談をしながら、医師と夫婦でタイミングを決めることが大切だと思う。
追記
奇跡的に妻は再度妊娠することができた。今は順調に成長していて2026年1月末に出産予定。
手術をしてくれた総合病院の先生たち、辛い時を乗り越えてくれた妻には感謝しかない。
【約8万円】入院でかかった費用

今回の入院でかかった費用は、約8万弱だった。内容は以下の通り。
- 入院費 6日間(個室利用あり)
- 手術 子宮動脈塞栓術
- 手術 子宮鏡下手術
急遽入院をしていて日数が増えているんだけど、予定通りだったら入院は3日間だった。また、高額医療費制度の対象だから病院で支払う費用を抑えることができている。
夫婦のコミュニケーションが支えになる

今回の経験を通じて、夫婦のコミュニケーションの大切さを改めて実感した。もし、胎盤ポリープの疑いがある方や治療を受ける方がいたら、女性は決して一人で抱え込まないでほしいし、男性は抱え込ませないでほしい。
俺自身も完璧にできたとは思っていない。特に稽留流産から胎盤ポリープの診断を受けたときなんか、俺が想像しているよりもかなり不安だったはず。そんな時に支えになれるのは夫しかいない。女性にだけ背負わせず、夫として支えてあげることが大切。
胎盤ポリープについて調べている方へ

胎盤ポリープは比較的珍しい病気のようです。
情報が少なく、突然診断されると「どうしたらいいのか」と不安になる方も多いでしょう。俺たちも悪いことばかりがネットに書かれているので最初は動揺しましたが、医師と相談しながら適切な治療を受けたことで、無事に乗り越えることができました。
何より大切なのは「夫婦で支え合うこと」。夫が寄り添い、妻をサポートすることで、心の負担は大きく軽減されると思います。同じ経験をする方が、少しでも前向きに治療に向き合えるよう、俺たちの体験談が役立てば幸いです。