営業マンになって約8年。未だに「どうすれば上手く伝わるのか」という悩みを抱えていた。
自分では理解しているつもりなのに、いざ話してみると相手の頭の上に「?」が浮かんでいることも。こっちはわかりやすく伝えているつもりだから、どうしたらいいのかを考えても正解がわからない。
だけど、ふと立ち寄った本屋で平積みに置かれている『頭のいい人が話す前に考えていること』という本を見つけた。その時に今、読むべき本はこれだと直感した。
今回は僕が実際にこの本を読んで何を学んだのかをレビューする。僕と同じように伝え方で悩んでいる人の参考になれば嬉しい。
「話し方」ではなく「話す前」の考え方が大切

簡単にこの本の説明をするとタイトル通りではあるんだけど、『話す前』の考え方に焦点を当てた本なんだ。
話し方のノウハウの本はたくさんあっても話す前の考え方が書いてある本は少ない。
そして、小手先のトークスキルで取り繕っても意味がないってことを突きつけられる。大切なのは『話し方』ではなく話す前の『考え方』だから。
そんなことを言っても話す前の考え方ってなんだよって思うので、まずは根幹でもある7つの黄金法則を紹介する。それが以下の通り。
- とにかく反応するな
- 頭のよさは他人が決める
- 人はちゃんと考えてくれてる人を信頼する
- 人と闘うな、課題と闘え
- 伝わらないのは話し方ではなく考えが足りないせい
- 知識はだれかのために使って初めて知性となる
- 承認欲求を満たす側に回れ
この7つの黄金法則の中でも、心に刺さった内容を紹介する。
後悔しないために6秒間我慢する

実は怒っている時というのは頭が悪くなっている状態なんだ。心当たりがある人もいると思うけど怒った時の発言で後悔した経験があるのは僕だけじゃないはず。
だからこそ発言する時には冷静でいる必要がある。だけど人間だからイラっとすることが必ずある。
もしイラッとしてしまった時にやってほしいのが6秒間待つという対策で、人間はイラッとしてから冷静になるまでに約6秒かかると言われている。
だから、イラッとした時は6秒間は口を閉じて反応をしない。こうすることで感情的な失言を防ぐことができて、発言で後悔しないコミュニケーションができるようになる。
議論では論破をしない

もし、あなたの周りに議論の度に言い負かせてこようとする人がいたら、そんな人と付き合っていきたいと思えるだろうか。僕はそんな人とは仕事でもプライベートでも付き合いを続けたいとは思えない。
恐らくそう思うのは僕だけではないと思うし、いずれはそんな人の周りには誰もいなくなってしまう。
逆に頭のいい人は言い負かせようとするのではなく、議論を進めることを意識をする人。議論の奥にある本質的な課題を見極めて、相手が言っている想いを想像して話す。
大切なのは議論の勝ち負けでもないし、テレビやネットの影響を受けて論破をしようとしないこと。論破をしても頭がいいとは思われないし、メリットもない。
賢い人は知らないふりをする

これは僕にとっては意外な発見だった。実は頭のいい人は知らないふりをするのだそうだ。知っているならアドバイスすればいいじゃんって思うんだけど、それではダメらしい。
なぜかというと一方的なアドバイスは相手が腑に落ちていなければ行動してくれないし、面倒くさい人だと思われるリスクすらあるからだ。
逆に頭のいい人は、すぐにアドバイスをするのではなくて話す前に相手のためになるのかを考える。そして一度立ち止まることで知識をひけらかすだけになっていないかと客観的にみることができている。
相手の承認欲求を満たす

コミュニケーションに自信がない人こそ、是非このコミュニケーションの強者になる方法を知ってほしい。
その方法というのが、相手の承認欲求を満たせるようになること。これさえできれば、誰でもコミュニケーションの強者になれてしまうんだ。現にカリスマと呼ばれるような人は承認欲求のコントロールに長けているそう。
そんな承認欲求を満たす側になるためのポイントは2つあって
- 自信を持つ
- 口ではなく、結果で自分自身の有能さを示す
があれば、承認欲求を満たす側になれる。そして相手を褒めつつ自分は「大したことない」という顔をする。そんな余裕こそがカリスマと呼ばれる知的で慕われる人のポイントなんだ。
5つの思考法でより考え方を深める

7つの黄金法則の次は5つの思考法の紹介だ。この5つの思考法というのが黄金法則をより深く考えるために必要な思考法で、それが以下の5つ。
- 客観視
- 整理
- 傾聴
- 質問
- 言語化
簡単に5つを紹介する。
【客観視】バカな話し方をやめる

今までに話をしていて、「この人、話の内容が浅いな」と思ったことは一度くらいあると思う。逆に言われたことがある人もいるかもしれない。実は内容が浅いと思われてしまうのには3つの特徴がある。それが
- 根拠が薄い
- 言葉の「意味・定義」をよく考えずに使う
- 成り立ちを知らない
これには心当たりしかなく、だから自分の発言は内容が浅いのかと思った。だけど、ついついやってしまう話し方でもあるという。
逆に頭のいい人は客観的に物事をとらえる力に長けている。そして、3つの特徴を理解しておくことで自分の発言に深みが増して、浅いと思われない話し方ができるようになる。
【整理】本質を理解する

聞いていてわかりやすい話と、わかりにくい話があるが、これは話し手が話す内容の本質を理解できているかどうかで決まる。話す人が理解していなければ、聞く人が理解することは困難。そして、理解するには話す内容が頭の中で整理されていることが必要で、どれだけ整理できているかで理解度が変わってくる。
その理解度をあげるための方法として
- 結論から話す
- 事実と意見を切り分ける
がある。相手が一番聞きたいであろう話から話し始め、自分主観の意見ではなく事実を話す。
この意識を持って話をすることを意識すれば、頭の整理ができるようになって、「頭がいいな」と思われる話し方ができるようになる。
【傾聴】聞くとちゃんと聞くは雲泥の差

もしかすると話を聞いているつもりで実は聞けない人になっているかもしれない。
ちゃんと聞いているつもりでも実は「自分の認識できたこと」だけ切り取って聞いていて、自分の都合のいいように置き換えてしまっている可能性がある。
これは個人的にも思い当たるフシがあるが、そうならないために自分の言いたいことではなく相手のいいたいことを考えながら話を聞くことが必要。相手の話を整理しつつ相手の言いたいことを理解することができるようになる。
ただ注意として言いたいことを言うのではなく、相手がなにを言いたいのかを考えながら話を聞くのがコツ。
【質問】質問をする前の仮説の立て方で質が決まる

話し方もだが質問をする前の仮説の立て方で質問の質が決まってしまう。それくらい準備が大切だということ。
例えば本の例を引用すると、「何か課題はありますか?」と漠然と聞くよりも
「売上の心配をしていますが、営業上で課題があるのでしょうか?それとも商材やマーケティングでしょうか?」
と相手の立場に立って仮説を立てて質問することで、より答えを引き出せる質問ができる。
そして、この仮説は間違っていてもいいということ。だからこそ、なにも提示せずに漠然と質問をするよりも、ある程度具体的な内容を投げておけば、「悩んではいるけど、そこじゃなくて、、」というような答えを引き出しやすくなるというわけ。
【言語化】優秀な人は自分の思考を言語化できる

僕は自分の思考を言語化ができていなかった。例えば何か映像作品をみたときに「面白かった!」だとか「感動した!」などの小学生並みの感想、通称『小並感』の感想しか言えていなかった。
だけど優秀な人はそういった自分の思考を言語化ができているらしい。
そして言語化ができているから成功を再現することができていて、逆に言語化ができない人は一度きりの当たりは出ても継続ができずに『一発屋』と呼ばれる人間になってしまう。
そして、一発屋にならないためには日頃からの言語化する習慣が大切。というのも言語化できるようになるには習慣があるかないかだけだという。
たったそれだけで言語化できるできないが決まってしまうので日々の中で習慣化するクセをつける。
個人的にいいなと思ったのは本やノウハウをまとめたノートを作ること。ようするにインプットしたものをアウトプットするということ。
僕の場合だとこの場がアウトプットの場として活用ができている。デジタルでもアナログでもいいから、まとめると言語化能力を鍛えることができる。
明日から少しずつ伝わるようになる

この本を読んだからといっていきなり上達するわけではない。少しずつ意識していくことで成長していく。決して読んだだけでは頭のいい話し方ができるわけではない。
7つの黄金法則や5つの思考法を使って、話すことを思い出してほしい。そして、気づいた時には頭のいい人の話し方になっているはずだ。
明日からではなく、これからの話し方から変えていこう。その積み重ねが頭のいい人の第一歩になる。