俺は本業で営業をしているんだけど、職業的に人と話す機会が多い。仕事の話はもちろん、雑談をすることも多くあるんだ。ただ雑談は得意じゃない自覚があって、もう少し上手になりたいなと自分の成長につながるヒントを探していた。
そんな時に見つけたのが、今回紹介をするこの本。『世界の一流は雑談で何を話しているのか』だ。
タイトルに惹かれて、世界の一流の雑談を学び今後の本業に取り入れようと思って手に取った。
今回は、この本を読んで学んだことをまとめつつ、再度自分に落とし込むために解説をしていく。この記事でこの本が面白そうだと思って手に取ってもらえると幸いだ。
目次
【概要】ビジネス中の世界との雑談の違いを知ることができる

この本を簡単に説明すると『世界の一流がやっているビジネスで成果を出すための雑談』が学べる本なんだ。
筆者はポーランド出身のピョートル・フェリクス・グジバチさん。この方は、モルガン・スタンレーで組織開発や人材育成を担当し、その後Googleに入社をし人材育成統括部長として組織改革に従事されている。
そんな筆者の経験をもとに日本人の多くがやりがちな雑談の特徴と、世界の一流がやっている真似すべき雑談を学ぶことができる。
日本人は雑談が苦手

まず、結論なんだけど日本人は雑談が苦手なんだ。というのも雑談を「本題に入るための潤滑油」と考えてしまっているからなんだ。雑談で本題の前に場を和ませたり、緊張感を取り除く役目をしている。ただ、そういった潤滑油目的の雑談だと
- 何を話せばいいのか
- 話が途切れてしまうのでは
- 興味も持って話を聞いてくれているのだろうか
といった不安が芽生えてしまう。
それに日本人の多くは自己開示が苦手だ。だから、ビジネスの場だとお互いよく知らないまま話をすることになってしまい、当たり障りがなく中身もない雑談になってしまう。
定型文の雑談は『時間・可能性・評判』を失う無駄話

そして、ビジネスの場で当たり障りない雑談は無駄と思われてしまうことも少なくない。筆者曰く、日本人のビジネス中の雑談は1/3が無駄な雑談だというんだ。
「いやいや、雑談は基本的に無駄話でしょ。」
って俺は思ったけど、そもそもこの考え方が間違いだった。
俺もよく営業先で「今日は暑いですね。」だとか、久々に会う人には「お元気でしたか?」って言っていた。しかもなにも気にせず無意識に。
こんな定型文の雑談は世界の一流からすると無駄な雑談だという。
それを聞いてなにか意味があるのか?ということらしい。
しかも、そういった無駄な雑談によって
- 時間
- ビジネスの可能性
- 評判
を失うことになってしまうんだ。怖すぎ。
雑談は商談の武器となる

世界の一流は雑談を明確な意図や目的をもって活用をしていて、時に雑談を商談の武器にさえしてしまうんだ。そして一流が武器とするために意識していることが3つあって、それが
- お互いに「信頼」できる関係を築く
- お互いが「信用」できることを確認する
- お互いを「尊敬」できる関係を作る
ことなんだ。世界の一流はこれらの『信頼、信用、尊敬』のある関係を雑談で築いて「ラポール」を作ることを目指している。ラポールというのはお互いの心が通じ合い穏やかな気持ちでリラックスして相手の言葉を受け入れられる関係のこと。
日本人のような、天気だったり思い付きの世間話じゃラポールを築くことはできない。
雑談を武器にするための心構え

そして雑談を武器にするにあたって大切な心構えがある。その心構えを3つ紹介する。
- 雑談を「一回限りのチャンス」と考える必要はない
- 知り得た情報を「次にどう活かすか」という視点を持つ
- 前回の内容をしっかり覚えておく
これらの心構えを持って雑談をすると有意義な雑談となる。どれも大事ではあるけど、特に次にどう活かすかという視点は大事で、ただ知っているだけではいい情報も全く意味のないものになる。
一流の雑談の『ミッション』と『目的』とは

日本と違って世界の一流はミッションと目的をもって雑談をしている。一流は雑談の最初のミッションとして『相手の確認作業』をするために活用をしているんだ。確認するのは以下の3つ。
- 相手の状況の確認
- ビジネス状況の確認
- 新たに必要な情報の確認
そして、この確認作業とは別に大きな4つの目的があって、それが
- 「つながる」 相手との距離を縮めて信用を作る
- 「調べる」 最新の動向や現状に関する情報を収集する
- 「伝える」 自社の意向や進捗状況などを報告する
- 「共有」 最新の情報を相互に認識する
の4つなんだ。この目的意識をもっていないと方向性を見失ってしまうことになる。
自己開示が距離を詰める鍵

世界の一流は、自己開示をしながら中身のある雑談で心理的距離を詰めている。自分がどんな人間で、どんな考えを持っているのかを知ってもらうことでお互いの警戒心も解きやすくなる。そうすると、一歩踏み込んだ話をすることができるし、その後の本題がスムーズに進みやすくなるという。
逆に日本人は自己開示を控える傾向があるから、当たり障りのない話題になって距離を詰めることが難しい。
これの影響で、身近な人に興味がないことに誘われる経験をしたことがある人もいると思う。それは俺たちが周りに自己開示をしていないからだというんだ。周りの人はよかれと思って誘っていて、嫌いだとは思ってもいない。
だから、自分の興味がないことに誘われるのは自己開示をしていない自分のせいでもあるんだ。
自己開示の前に自己認識が必要

自己開示が苦手な理由としては、『自己認識』をできていないことに理由がある。そもそも自分のことをよくわかっていない人が多いんだ。自分がわかっていないのに、『自分はこういう人間ですよ』なんて話すことなんてできない。まずは自分を知るというところから始めないといけないんだけど、自分自身と向き合うために大切なことが3つあって
- 「価値観」何を大切にしているのか?
- 「信念」何が正しいと思っているのか?
- 「希望・期待」何を求めているのか?
ようするに『何が好き』で『何が嫌い』なのかを知ることで、ようやく自己開示ができるようになる。
自己認識ができれば自己開示もできるようになる。そうすれば雑談の内容に厚みをもたせることもできる。
【まとめ】雑談は潤滑油ではなく武器

今までの雑談がいかに中身がなくて意味のない雑談だったのか、場繋ぎの雑談ではなくて中身のある雑談が必要ということを、この本で気づかされた。
今までは、特になにも気にせずに、ただ場当たりで雑談をしていたけど、ビジネスの場での雑談は自分の得になるような情報を引き出すために、どうするかを考える必要がある。
本題の潤滑油ではなく、本題のための武器として雑談の認識を改める必要がある。
あなたもビジネスの場での雑談に困っているなら、ぜひこの本を手に取ってみてほしい。きっと雑談の考え方が変わるきっかけになるはず。